群馬県の水道水は、県内すべてで同じ水源・浄水場・水道事業体を使っているわけではありません。この記事では、県内の代表的な水道事業体の一つとして前橋市水道局の公表資料を中心に、令和6年度の年度確定値と、PFOS・PFOAの公表状況を整理します。
前橋市の数値は前橋市水道局の給水区域に関するもので、群馬県全域の値ではありません。住んでいる市町村、住所、建物の給水方式まで確認して、使っている水の情報に結び付けましょう。
群馬県の水道水はそのまま飲める?
群馬県の水道水は、担当事業者の最新検査が水質基準に適合し、蛇口に色・濁り・異臭がなく、受水槽や建物内配管にも異常がなければ、通常はそのまま飲めます。群馬県内には、市町村が運営する水道や群馬県企業局から受水する水道など、複数の供給の仕組みがあります。前橋市水道局も自前の浄水場・配水場に加え、県央第一・県央第二水道から受水する施設を持つと公表しています。したがって、「群馬県の水道水」を一つの数値で表すことはできません。
この記事で中心的に扱うのは、県庁所在地を給水区域に含み、給水栓での定期検査と水質情報を継続して公表している前橋市水道局です。同局は前橋市水道局「水質情報(検査計画・結果等)」で、検査計画、給水栓の月次結果、浄水場・受水場の結果を公開しています。前橋市外では、この数値を当てはめず、担当する水道事業体の資料を見ます。
群馬県ではどこから水道水が届いている?
水の供給元を知るには、まず住所を担当する水道事業体に結び付けます。前橋市では、複数の浄水施設と受水施設が使われており、前橋市水道局の令和7年度水質検査計画には、青梨子受水場・清里前原受水場などの県央第一水道からの受水施設と、堀越受水場などの県央第二水道からの受水施設が示されています。
住所だけから特定の浄水場を推測するのではなく、前橋市水道局「令和7年度水質検査計画」の施設情報と水道局への照会で確かめます。
前橋市以外の主要地域も別の公表ページを使います。たとえば高崎市は、地域と浄水場水系を分けて給水栓結果を公開しています。高崎地域でも若田・剣崎・白川・正観寺の各水系が並ぶため、高崎市「水質検査結果」で自分の地域・水系に対応する結果を確認します。太田市、伊勢崎市、館林市などでも、水道事業体や受水の状況が異なるため、各市の公式水道ページを起点にするのが確実です。
群馬県の最新の水質データ
年度全体を比較しやすい確定資料として、前橋市水道局の「令和6年度事業年報」を用います。下表は、同年報の給水栓水質検査にある池端緑地(池端町)、大渡公園(大渡町)、大利根緑地(下新田町)の各地点の年間最大・最小・平均値を整理したものです。いずれも浄水場出口ではなく、配水後の給水栓で採水した水の結果です。
| 項目 | 公式結果または数値 | 単位 | 基準値・目安 | 評価 | 対象地域・事業体 | 採水地点・系統・水の段階 | 検査日・年度・公表日 | 読者向けの意味 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 硬度 | 17〜126(地点別年間最小〜最大) – | – | 300 mg/L以下 | 対象地点の公式結果を確認 | 群馬県/mg/L | mg/L | mg/L | 300mg/L以下 | 「令和6年度事業年報」 |
| 残留塩素 | 0.21〜0.47(地点別年間最小〜最大) – | – | 給水栓で0.1 mg/L以上 | 対象地点の公式結果を確認 | 群馬県/mg/L | mg/L | mg/L | 0.1mg/L以上 | 「令和6年度事業年報」 |
| 濁度 | 0.1未満 – | – | 水質基準に適合 | 公表された基準値または管理条件の範囲内 | 群馬県/度 | 度 | 度 | 2度以下 | 「令和6年度事業年報」 |
| 色度 | 0.5未満 – | – | 水質基準に適合 | 公表された基準値または管理条件の範囲内 | 群馬県/度 | 度 | 度 | 5度以下 | 「令和6年度事業年報」 |
| 味・臭気 | 異常なし – | – | 水質基準に適合 | 対象地点の公式結果を確認 | 群馬県/— | — | — | 異常でないこと | 「令和6年度事業年報」 |
| PFOS・PFOA | 公表結果は公式表を確認 – | – | 50 ng/L以下 | 対象地点の公式結果を確認 | 群馬県/群馬県の対象事業体・採水地点別 | 群馬県の対象事業体・採水地点別 | 群馬県の対象事業体・採水地点別 | 県全体の一律値ではなく、自宅を担当する事業者の同じ水の段階を確認します。 | 「令和6年度事業年報」 |
この表は「前橋市の代表的な3地点で、令和6年度に公表された範囲」を示すものです。前橋市内でも採水地点、水源、配水経路、検査時期で数値は変わります。高崎市のように月次で公開する自治体では、直近の状況を高崎市「令和7年度水質検査結果(高崎地域)」で確認できますが、これも高崎地域の各水系に限る資料です。
水質データを見るときのポイント
水質検査計画は「どこで、何を、どの頻度で調べるか」を示す計画であり、実測値は検査結果で確認します。年度確定値は年間の傾向を見るのに向きますが、断水、濁り、においなど当日の現象を説明する資料ではありません。月次結果は直近の把握に役立つ一方、年度全体の代表値ではありません。
また、原水は処理前の水、浄水は浄水場で処理した後の水、給水栓水は配水後に蛇口で採った水です。家庭で使う水に近いのは給水栓水ですが、建物内に貯水槽や共用配管がある場合は、その先の状態まで直接示しません。表の「未満」は測定方法で定めた定量下限値を下回ったことを表し、物質が完全に存在しないという意味ではありません。
PFOS・PFOAの検査結果はどう見る?
環境省「水質基準項目と基準値」では、2026年4月1日からPFOS及びPFOAを合算0.00005mg/L以下(50ng/L以下)の水質基準項目としています。それ以前の検査結果は、検査当時の水質管理目標設定項目の暫定目標値との比較であり、記事公開日時点の制度名と分けて読みます。
PFOS・PFOAは、令和8年4月1日から合算50ng/L以下の水質基準項目になりました。前橋市水道局は、令和3年度以降に浄水場で検査を行い、令和7年度までの過去データについて、全地点で50ng/Lを下回ったと公表しています。
検査対象は過去データでは浄水場であり、同局は令和8年度から給水栓でも年4回程度の検査を行う方針です。数値の対象が浄水場か給水栓かを分けて、前橋市水道局「水道水における有機フッ素化合物(PFOS及びPFOA)の検査結果」の年度別PDFを読みます。
県企業局については、県央第一・県央第二水道事務所の原水と浄水で年4回検査を実施し、令和7年度までの公表内容ではいずれも検出されていないとされています。原水と浄水の意味、年度別の測定結果、県から市町村へ送る段階の説明は、群馬県企業局「有機フッ素化合物(PFOS及びPFOA)について」で確認できます。
県企業局の結果も、県営水道の供給先や測定段階に関するものであり、群馬県内すべての家庭の蛇口を一律に示すものではありません。
硬度・カルキ臭・味の特徴
前橋市の令和6年度年報では、3つの給水栓地点の硬度は17〜126mg/Lでした。硬度はカルシウムとマグネシウムの量に関する指標で、数値の違いは泡立ちや飲み口の感じ方に影響することがあります。ただし、硬度は水の安全性を直接示す指標ではありません。軟水・硬水という呼び方だけで、水の利用可否を判断しないようにします。
同じ3地点の残留塩素は0.21〜0.47mg/Lで、衛生上必要な0.1mg/L以上という基準に対して公表されています。塩素系のにおいは、消毒のために残留させる塩素と、気温、配水距離、建物側の設備、感じ方の違いが重なって強く感じられる場合があります。
前橋市の年度検査で味・臭気が「異常なし」とされていても、急ににおいが変わった場合は、当日の断水・工事情報と建物設備を先に確認します。
自宅の水質を確認する方法
自宅の担当水道事業者は群馬県の公式な給水情報で確認し、担当事業者が分かったら公式の水質検査結果を開いて、給水区域・採水地点・検査時点を照合します。
- 検針票、水道料金の案内、自治体の水道窓口から、住所を担当する水道事業体を特定します。
- 担当事業体の水質検査計画で、給水区域、浄水場、受水施設、採水地点を確認します。住所から配水系統まで公開資料だけで分からない場合は、推測せず問い合わせます。
- 月次・年度の水質検査結果で、給水栓水か浄水か、採水日、採水地点、単位をそろえて見ます。
- 集合住宅では直結給水か貯水槽方式かを管理会社・管理組合に聞き、貯水槽の清掃・点検記録を確認します。
- 一つの蛇口だけか、家全体か、水だけかお湯でも同じかを分けて確認します。お湯だけで起きる場合は給湯器側、特定の蛇口だけなら宅内配管・水栓側も候補になります。
前橋市水道局の水質係は027-231-3075です。検査資料について尋ねるときは、住所、気になる現象、発生した日時、冷水・温水の別、建物の給水方式が分かる範囲を伝えると確認を進めやすくなります。
色・濁り・においが気になるときは?
色、濁り、におい、味が急に変わったときは、まず水道事業体の断水・濁水・工事情報を確認します。高崎市では高崎市「断水・濁り水・節水等のお知らせ」に情報を掲載しています。前橋市など他地域では、担当水道事業体の公式サイトまたは窓口を使います。
次に、家中の冷水で同じ現象が出るかを確かめます。一つの蛇口だけなら水栓や宅内配管、集合住宅全体なら貯水槽や共用設備、近隣でも同じなら配水側の情報が判断材料になります。赤水、強い濁り、明らかな異臭などで使用を迷うときは、飲用・調理に使う前に担当水道事業体へ連絡します。給水設備の管理範囲に関わる場合は、建物管理者にも同時に連絡します。
水道水をそのまま使うか迷ったときの考え方
家庭では、安全性は最新の水質基準適合結果、味は硬度・残留塩素、建物設備は受水槽・建物内配管・給湯設備、急な変化は一時的な異常として分けて判断します。
公表された水質検査の対象・時点を確認し、日常の用途を分けて考えます。公式結果に基準適合が示され、見た目やにおいに変化がなく、建物設備にも問題が見当たらない場合は、水道水をそのまま使う判断の根拠になります。味やにおいの好み、貯水槽・配管の状態、赤ちゃんの調乳、災害備蓄、交換や買い物の手間、毎月の費用は別の判断軸です。
浄水器、ペットボトル水、ウォーターサーバーを検討する場合も、先に公式データと建物側の状況を確かめます。浄水器は製品ごとに除去対象・交換時期・流量条件が異なります。異常の原因が貯水槽や給湯器なら、飲料水の選択だけでは原因解決にならないことがあります。
水道水についてよくある質問
群馬県内なら、前橋市の水質データがそのまま当てはまりますか?
当てはまりません。前橋市の数値は前橋市水道局の給水栓または浄水場を対象にしたもので、県内には別の水道事業体、水源、浄水場、受水の仕組みがあります。前橋市外では、居住地を担当する水道事業体の検査結果を見ます。
前橋市の硬度17〜126mg/Lは、自宅の硬度ですか?
自宅の固定値ではありません。令和6年度に池端緑地・大渡公園・大利根緑地の給水栓で公表された年間の範囲であり、採水地点と時期によって異なります。住所の配水系統が分からない場合は、水道局に照会します。
PFOS・PFOAが基準値を下回るとは、完全にゼロということですか?
完全にゼロという意味ではありません。前橋市の公表は、令和7年度までの浄水場の検査で全地点が50ng/Lを下回ったという内容です。検査年度、地点、水の段階、定量下限値の記載を年度別資料で確認します。
集合住宅でにおいが気になるときは何を確認しますか?
水道事業体の当日情報に加え、直結給水か貯水槽方式か、他の住戸でも同じか、冷水とお湯のどちらで起きるかを確認します。貯水槽方式や共用設備が関わる場合は、管理会社・管理組合に清掃・点検状況を問い合わせます。
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参照した公的情報
公式情報の確認日: 2026-07-19

