
まず知っておきたいこと
マンションだから水道水の状態が悪いとは限りません。気になるときは、地域の水道水と、建物内の受水槽・ポンプ・配管・給湯器などを分けて確認します。
マンションの給水方式には、水道管から建物へ直接送る「直結給水方式」と、一度受水槽にためてから各住戸へ送る「受水槽方式」などがあります。受水槽方式では、受水槽に入るまでを水道事業者、受水槽以降の設備と水質を建物の所有者や管理者が管理します。
そのため、築年数や「受水槽がある」という理由だけで、水の良し悪しを判断することはできません。次の順番で確認しましょう。
- 自宅の給水方式を確認する
- 清掃・点検などの管理状況を確認する
- 変化が起きている範囲を切り分ける
- 問題がなければ、味や使いやすさから水を選ぶ
設備の問題が疑われる場合は、水の種類を替える前に管理会社などへ確認することが大切です。
自宅の給水方式と管理状況を確認する
給水方式を確認する
入居時の資料、管理規約、建物内の掲示などを見て、直結給水方式か受水槽方式かを確認します。分からない場合は、管理会社や所有者へ問い合わせましょう。
直結給水方式には、水道管の圧力を利用する方法と、増圧ポンプを使って高い階まで送る方法があります。受水槽方式では、水道水をいったん水槽にため、ポンプや高置水槽を通して各住戸へ送ります。
受水槽の清掃・点検状況を確認する
受水槽を使う建物では、清掃日、点検日、水質検査の記録、設備工事のお知らせを確認します。
有効容量が10立方メートルを超える受水槽は「簡易専用水道」に当たり、設置者には年1回の水槽清掃や登録検査機関による検査などが求められます。10立方メートル以下の受水槽についても、自治体が同様の管理を求めている場合があります。
住民が自分で水槽を開けたり、内部を確認したりする必要はありません。管理会社や管理組合へ、直近の清掃・点検状況を尋ねましょう。
どこで変化が起きているか切り分ける
水の味、におい、色、濁りなどが気になるときは、次のように範囲を確認します。
- 台所だけか、洗面所など複数の蛇口でも同じか
- 冷水とお湯の両方か、お湯だけか
- 少し流した後も続くか
- 近隣住戸でも同じ変化があるか
- 地域で工事や断水のお知らせが出ていないか
一つの蛇口だけなら、蛇口の先端や住戸内の配管が関係していることがあります。お湯だけなら、給湯器や温水側の配管を確認します。
複数の蛇口や住戸で同じ変化がある場合は、建物の受水槽・ポンプ・共用配管や、地域の水道情報を優先して確認しましょう。発生時刻、場所、冷水かお湯か、色やにおいの内容を記録しておくと伝えやすくなります。
設備に問題がなければ家庭に合う水を選ぶ
水道水
給水方式と管理状況を確認でき、追加の費用や保管を増やしたくない家庭の基準になります。味やにおいだけが気になる場合は、冷やして飲む方法も試せます。
浄水器
建物設備に異常がなく、水道水の味やカルキ臭を整えたい家庭の選択肢です。除去対象、試験条件、カートリッジの交換時期を確認します。
浄水器は受水槽や配管の異常を解決する設備ではありません。賃貸住宅では、取り付け可能な蛇口か、原状回復が必要かも確認しましょう。
ペットボトル水
管理状況を確認している間だけ飲用水を分けたい場合や、外出・災害備蓄にも使いたい家庭に向いています。
必要な本数から始められますが、集合住宅では運搬、保管、空容器の処分も続けられるか確認します。
ウォーターサーバー
冷水や温水をすぐ使いたい家庭の選択肢です。宅配水型は飲用水を建物の水道水と分けられますが、浄水型は建物の水道水をろ過して使います。
どちらも共用設備や住戸内配管の問題を解決するものではありません。料金、設置場所、清掃、配送、契約期間、解約条件も比べましょう。
一つの方法だけに決めなくても大丈夫
普段の飲用と料理には水道水や浄水器を使い、災害備蓄にはペットボトル水を置くなど、用途ごとに分けても構いません。
設備の確認中だけ市販水を使い、問題がないと分かったら水道水へ戻す方法もあります。水をすべて替える前に、何が不安なのかを整理すると費用や管理負担を増やしにくくなります。
商品比較では判断せず、公式窓口へ確認するケース
次の場合は、浄水器や市販水を選ぶ前に、状況に合った窓口へ連絡してください。
- 色、濁り、異物、強い異臭が急に出た:管理会社または水道事業者
- 複数の住戸で同じ変化がある:管理会社または水道事業者
- お湯だけに変化がある:管理会社、所有者または給湯器メーカー
- 受水槽の清掃や点検状況が分からない:管理会社または管理組合
- 漏水、ポンプの異音、設備の故障が疑われる:建物の緊急連絡先
- 自治体や水道事業者から飲用制限が出ている:案内された指示に従う
設備を自分で分解したり、異常がある水を無理に飲み続けたりせず、発生状況を記録して伝えましょう。
よくある質問
マンションの水道水は戸建てより安全性が低いですか?
建物の種類だけで安全性を判断することはできません。給水方式と受水槽・配管などの管理状況を確認し、急な変化がないかを見て判断します。
受水槽があるマンションの水は飲まない方がよいですか?
受水槽があるだけで、飲用に適さないとは判断できません。管理会社へ清掃、点検、水質検査などの状況を確認しましょう。
浄水器を付ければ受水槽の問題を解決できますか?
浄水器は味やにおい、製品が対象とする物質を減らすための選択肢で、受水槽や配管の故障・管理不良を解決するものではありません。設備の異常が疑われる場合は、先に管理会社へ連絡してください。
賃貸マンションでも浄水器を取り付けられますか?
蛇口へ簡単に取り付けられる製品もありますが、蛇口の形状や契約条件によって異なります。工事や部品交換が必要な場合は、管理会社や所有者へ確認してください。
参照した公的情報・確認日
公式情報の確認日:2026年7月17日
- 東京都水道局「給水方式について」
- 東京都水道局「貯水槽水道に関するQ&A」
- 東京都水道局「水道設備の維持管理」
- 大阪市水道局「適正な貯水槽水道の管理をお願いします」
